本の感想とか考察とか
スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

/ - / - / -
潮騒
 
「その火を飛び越して来い、その火を飛び越してきたら」

あのミッシーがこんな作品も書けるのかと驚愕していたら
ギリシア・ローマの小説『ダフニスとクロエー』に着想を得たもの、らしい。
つまりオマージュなのか。納得。

自然と共生する素朴な人々の営みの中で、無口な青年が様々な障害を乗り越えて
美しい少女と結ばれるという、あまりにも健全で純粋な恋愛小説

ストーリーの重みは水戸黄門何の勧善懲悪ものなのに
それを読みきらせるのはもう三島の構成力と文才
綺麗な文章を何も考えずに読める本
短いし、今は新潮で可愛いデザインが出ているので是非

その火を〜のシーンは本当に、島特有の閉塞感と恋愛の疾走感で息苦しくなって最高だった
本当文学史に残る名場面だと思う
あんな文章が一生で一度でも書けたら、もう死んでもいい

08:54 / ま行 / - / -
スイートリトルライズ
 
「なぜ、嘘を着けないか知ってる?
人は守りたいものに嘘をつくの。あるいは守ろうとするものに」
 



夫婦が浮気をする話
テディベア作家の妻の閉塞感に耐えられなくなった夫は後輩の女の子と
夫に恋をしていない妻はかけだしの字幕作家と
それぞれ浮気をする話

どうにも昼ドラ的展開なのに
いかんせん江国さんなので、童話的でリアリティが無い
そこが読んでいて気楽で良かったです

まあお暇ならどうぞぐらいの・・・

章ごとに区切って両者の視点から物語が展開するという手腕は
心理描写がしやすくっていいなあ


08:17 / あ行 / - / -
予定日はジミー・ペイジ

「泣いたり笑ったり不安だったり急に光がさしこんだように思ったり
かつての日々をなつかしんだりしていたとき
その気持ちの細部を言葉で説明しなくても
おなかにいるこのだれかがきちんとわかってくれていると思っていた」


あらすじ
赤ちゃんができた
 予定日を調べたらジミーペイジの誕生日らしい
そんな<私>を巡るマタニティ小説

小説であり作り話でしかないのにやけに面白い
出産だなんてテーマがずるいのだ
ついついほっこりと見守りたくなった
まんまと作者の意図にはまった気分
 
赤ちゃんがいると空間の空気がかわる
 妊婦さんも同じことだ
 愛しくてくすぐったくてめでたい
それは人間が連綿と続く為の新しい命を慈しめとかいう本能だ
 
<私>は子供が出来たことを手放しで喜べなくって
そんな自分に罪悪感を感じながら、夫に苛立ったり物を舐めたりわめきちらしたりトイレに籠城したりしながら十月十日を過ごす
だが、それすら愛しいのだ
読者、というか私には彼女が幸せのなかでもがいているようにしか見えない

だって赤ちゃんがいるんだぜ!!ヒュー!めでたい!
 まだ人生が浅いからこんな反応ですが産んだら変わるのかな
居酒屋で赤ちゃんが動いて皆が拍手するシーンはよかった
あと旦那がウザかわいい

この作者好きではないがなかなかだぜ・・・
12:15 / か行 / - / -
白の鳥と黒の鳥
いしい しんじ
角川グループパブリッシング



「こんな暑い日はおしめりが欲しいね」


いしいしんじによる不可解メルヘン短編集19編
そこはかとなく宮沢賢治臭がする
もう一ページ読んで好きな人は悶えるし、
ハマらなかったひとにはハア?てかんじだろうな

私は大好き派でした。たまらん。


気に入ったやつをピックアップ

しろねずみ
ハツカネズミのあの滑らかさと白さとしなやかさは
本当に性的にいやらしいしなまめかしいなぁ

カラタチとブルーベル
赤と青の双子
双子もの二作 どっちも好き
私が好きそうなブラックメルヘン

紫の化粧
老いについて一番考えるのは、もしかしたら
オカマのひとかもしれないなあ
それにしてもマコさんはかわいいなぁ

白黒の鳥の声
表題作なのかな?
鳥のセリフがいちいち可愛い可愛い可愛い!
いしいさんと鳥というだけで、もう確実

透明に関する四つの小話(コント)
どれも秀逸
こういうのが大好きすぎる
ありがちだけど、二話目がすき

12:03 / あ行 / - / -
まほろ駅前多田便利軒


「勝手なことばかりして、他人も自分もどうでもいいようなそぶりを見せるくせに
本当はだれよりもやわらかく強い輝きを胸の奥底に秘めている」

便利屋多田はひょんなことから
高校時代の知り合い行天(小指にワケアリ)を居候として拾う
東京と神奈川の国境ぞい、全てがそろうようで何もない街「まほろ」で
バツイチ三十路二人が奔走する

…というね
まぁ飄々としたデンパとお人好しオヤジだなんて最高の組み合わせなわけで
しをんさんのホモ未満の二人組は何が好きって
期待を裏切らないテンプレートつうか、そこはベタにいこうぜ!ていうところを
ちゃんと押さえてくれるところ
ちょうどいい距離感です

あとはるちゃんの話が良かった
あのエピソードがあるだけで行天のキャラがよりクリアになりました

私的には星くんカップルがかわいかったのと
小学生をもてなすコロンビア娼婦ふたりのアイスクリームの件がたまらなかったです

11:44 / か行 / - / -
時のかなたの恋人
 
「何でも持っていくいい
余の心でも、魂でも、命でも」

下の記事に反してまさにラブロマンスゥーですよ

最初の30ページに出てくる最悪に鼻持ちならない勘違いマザコンイカレ男に
イライラして読むの止めようかと思いましたがその後はぐいぐい読み込める

本の後ろにあるあらすじ曰く

「恋人に捨てられて教会で泣いていたダグレスの前に
16世紀イングランドの伯爵を名乗る鎧の男が現れて…   」

といういわゆるタイムスリップラブ

ありとあらゆるものがベタでした

…が、それがいい!

完成されたベタというものは素晴らしい
少女マンガしかり水戸黄門しかり
予定調和を見越してその通りだったときの胸のすく感じ!

そしてこの伯爵がまたかっこいいんですよ
かっこいい男が滲ませる可愛らしさがたまらないです
一人称、余だけど
いや、それがまた

わたしも、そなたのことは言葉では表せぬとか言われたい
余の時代に戻ればそなたに宝石をシャワーのように降らせてやるものを、とか言われたい
今に換算するととんでもなく豪華なエメラルドの指輪をぽんと渡されて、貰えないよっていったら微笑みながら「それは女のおもちゃだ」とか言われたい

名作には名作たる理由がありました

昔りぼんを読んでた時みたいだった!
ああ、ときめいた!


11:54 / た行 / - / -
閉ざされた城の中で語る英吉利人

 「だがこの薔薇色も白色もモンキュが言った次のような言葉を
決して忘れさせることはできないだろう

『エロスは、黒い神だ』」


この一文だけは認めよう
さておんにゃのこには確実にオススメしないこの一冊
どうか読まないでください
どうか読まないでください

新宿の本屋で、日本のエロジジイvsフランスのエロジジイという謡い文句で
谷崎と並べられていたので買った本

あらすじは簡単
ガムユーシュという閉ざされた城に
ひとりのイギリス人が招かれ、
息がつまるような空間で性と嗜虐の限りを尽くす

谷崎と並べられたり、「文学ポルノの傑作」とか言われていたので
耽美でねっとりしたものを期待していたら想像を絶する…アレさだった
犬とか蟹とか氷とか切断とか
もう痛い痛い痛いって!みたいな
130ページなのに読むの何時間かかったことか

フランスに鬼ロック先生みたいな精神性を期待した私が愚かだったのか…
羞恥が無い世界で何がエロスだ!とか憤ったんですが、まぁこれはやっぱり国民性の違いかな
閉鎖感とかは嫌いじゃないんですがやっぱグロが強すぎる
つうか、戦争やっても勝てないだろうなぁという凄まじき暴力性が滲んでいて空恐ろしくなる

かの澁澤がこの作品に注目していたらしいので、機会があったら彼の訳読んでみようかなぁ 


あとやっぱりフランスとイギリスて因縁がすごいんだな


11:50 / た行 / - / -
まぶた
 
「異様なプールではあったけれど、たたずまいはびくっとするほど綺麗だった」


背泳ぎの得意な私の弟
毎日、弟が生きがいの母とストップウォッチに追いかけられていた彼の左腕が耳にそって伸ばした形で動かなくなってしまった(「バックスクロール」)


小川さんの短編集
ちなみに此処に短編集が多いのは私が大好きだからです


博士の愛した数式のときはこれをどこに隠していたのかしらと
首を傾げたくなるような生臭い毒が撒き散らかされた話ばかりだった
それが悪いというのではなく、例えば枇杷を剥く女の白い指と対比された滴る橙色の生々しさは博士〜からはちいとも読み取れなかったものから驚いたのだ

「リンデンバウム通りの双子」が好きだった
巻末の話であったが、死の体温と老人というテーマにもかかわらずほの明るい感じがして、最後のデザートにぴったりだった



09:10 / ま行 / - / -
陰影礼賛
 
「かつて漱石先生は「草枕」の中で羊羹の色を賛美しておられたことがあったが
そう言えばあの色などはやはり瞑想的ではないか
玉のように半透明に曇った肌が奥の方まで日の光を吸い取って、夢みる如きほの明るさをはらんでいる感じ、あの色合いの深さ、複雑さは西洋の菓子には絶対に見られない」

「人はあの冷たく滑らかなものを口中に含む時、あたかも室内の暗黒が一個の甘い塊になって舌の先で溶けるのを感じ本当はそう美味くない羊羹でも味に異様な深みが添わるように思う」

羊羹ひとつにこの描写
お流石です
羊羹食べたい

美は物体にあるのではなく
物体と物体との作り出す陰翳だと説く
谷崎先生による日本人あるあるネタ

嘘です

でも、53回くらい同意した

エッセイもうまいなんて聞いてない
これ以上とりこにさせないでほしい

彼ほど美しさと論理を兼ね備えた文章書きっていないと思っています


14:13 / あ行 / - / -
つづきはまた明日

 「お母さんのしてくれるお話はねぇ
おしまいがないんだよ」


久しぶりに良い漫画
日常ほのぼの系、とかかな?
でもよつばととかは違うんだよな・・・
こう、そこはかとない児童書っぽさがわたしはすきです

母を亡くした家族の話なのに一切暗くない
あらすじをかこうとしても上手く行かないのですが
毅然とした世界観があるから記憶に残るのかも

ああー桃缶たべたい
ランドセルなつかしいなあ



14:09 / た行 / - / -
1/3PAGES >>